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偲ぶ 平賀敬 さん

昨日、箱根の老舗旅館にて研修会が行われました。
朝は土砂降りだったので、他のメンバーとバスで駅に向かおうとしたところ、
旅館のフロントにおいてある箱根マップを手に取ると、
「平賀敬美術館」!

私が20代のとき最も影響を受けた方で、9年前に他界した画家です。
敬さんは友人の叔父にあたり、何度かご自宅にお邪魔したことがあります。
 元山県有朋の別荘をアトリエ兼自宅とし活躍された方です。
経歴も変わっていて、立教の経済学部を出て、パリに行き絵描きを目指し、
奇才の新人と称され若い頃から大きな賞を取っていたそうです
(当時は知りませんでした)。
絵の素養のない私は、落書きにしか見えませんでした(笑)。

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友人と遊びに行くと、いつもお客さんがいました。
画家仲間であったり、大学教授、雑誌の編集長と様々です。
勝手にお風呂に入り、勝手に酒を飲み、勝手に幸夫人の手料理を食べています。
当の敬さんは、ビーカーにきっちり半分の焼酎を入れ、お湯を足し、
朝からマイペースで酒を飲み続けます(日課です)。
終電でお客さんが帰ると(中には酔いつぶれて寝ている人もいます)、
私たちを誘って川沿いの屋台ラーメンに連れて行ってくれました。
誰にでも同じように接し、絵の話はほとんどせず、
哲学や経済に関する会話が多かったと記憶します。

酒が抜けず、朝9時ごろ目を覚ますと
「いつまで寝てるんだ!俺はもう10万円稼いだぞ!」
と言って笑っていたのが印象的です。
朝一で頼まれていたデザイン画を書き終えたとのこと。
そして、また飲み始めるのです。

敬さんが亡くなったことは友人から聞いていました。
でも、美術館として残っているとは知らず、
懐かしさに思わず寄ってみると、「水・木休館」。

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それでもずうずうしく上がりこんでいくと、昔のままでした。奥で音がするので、台所を覗いてみると幸夫人が。入れ替わり立ち代り来る人の一人を覚えているわけありませんが、名前を告げると思い出してくれました(めずらしい名前を付けてくれた親に感謝!)
2時間場ばかり話したでしょうか…。

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「実は、13日が主人の命日です。
あなたが来てくれたのは何かの思し召しかもしれません。寄ってくれてありがとう。」と、
手を握ってくれた幸夫人(現在館長)の優しさに溢れた顔を見て思わず目頭が熱くなりました。
箱根湯元から徒歩7分。小さいお風呂ですが、風情のある温泉もあります。
おそらくこんな美術館は日本中探してもないと思います。
近くに行かれた際は、是非立ち寄ってみてください。

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